第3回研究会報告

日時:2013年7月13日(土)14:00〜18:00
場所:東京国際大学国際交流研究所 第1キャンパス金子泰蔵記念図書館4階L422教室


発表概要
1.「革命後のエジプトのジェンダー関係」
発表者:辻上奈美江 (東京大学大学院総合文化研究科 スルタン・カブース・グローバル中東研究寄付講座 特任准教授)

要旨:
 軍によるムルシー政権打倒により、ムスリム同胞団が勢力を伸張した「アラブの春」の行方が再び不透明になっている。イスラミスト政権の誕生と崩壊は、ジェンダーをめぐる政治にどのような影響を及ぼすのか。そして女性たちの地位や権利に変化をもたらすのか。本発表では、政変を経験したエジプトについて、新憲法における女性の地位、革命後の各勢力の女性の権利に関する立場について明らかにするとともに、政変を経験しなかったサウディアラビア、バハレーン、モロッコについても比較論的観点から考察しました。
 発表では、アラブの春が多重的な権力装置に埋め込まれた不満の噴出の一形態として起きたこと、他方で正義を求める抗議から性暴力のような不正義が生起していることなどを指摘しました。


2.「米国のムスリム ─ リベラルなイスラームの可能性と限界」
発表者:泉淳 (東京国際大学経済学部准教授)

要旨:
 アメリカでの綿密な調査に基づいて、「米国のムスリム ─ リベラルなイスラームの可能性と限界」というテーマで、米国ムスリム(muslims in America)社会の現在までの概要、リベラルなイスラームと保守的なイスラームの提唱者たちの活動を紹介していただき、また各種世論調査やモスク関連の意向調査から、在米ムスリムの志向と行動を読み解き、アメリカが抱えるイスラームフォビア(イスラーム嫌い)に対応するための最善の策はなにか、という重要なテーマを提示する興味深いご発表をしていただきました。



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