科研A「変革期のイスラーム」第6回((2014年度第1回)研究会

日時:2014年6月28日(土)14:00〜17:00
場所:東京国際大学国際交流研究所 第1キャンパス金子泰蔵記念図書館4階L422教室

     

発表概要
“Teaching Judaism to German and Japanese Christians - a comparative study.”
発表者:ジョナサン・マゴネット

 ジョナサン・マゴネット先生(レオ・ベック大学名誉学長、ユダヤ教ラビ、西南学院大学名誉博士・客員研究員)は、ユダヤ教進歩派のラビとして、新しい聖書解釈の研究とともに、42年もの間、ドイツを中心としたヨーロッパのさまざまな場で、ユダヤ教と他宗教との対話と共存の活動に取り組んでこられました。さらに日本でも、西南学院大学神学部で5年間教鞭をとるという経験をもっておられます。本年度、西南学院大学からユダヤ教徒としては初めて、名誉博士号を授与されました。
 マゴネット先生には、2012年度の本科研共催による公開講演会においては「現代におけるラビの役割と挑戦―進歩派ユダヤ教と宗教間対話」と題して講演していただき、2013年度には本科研公開シンポジウム「宗教間対話の新しい局面へ」で話者の一人として登壇していただきました。
 本年も来日され、福岡の西南学院大学で教鞭を執られており、6月27日(金)には同大学で「『言葉を話すろば』(聖書)をめぐるラビ的解釈(外部サイト)」と題して公開講演会を行うなど、日英で精力的に活動されています。日本のキリスト教系の大学がユダヤ教のラビを教員として迎えること自体、大変に珍しいことです。マゴネット先生はクリスチャンの教員や学生との対話を進める中で、聖書についてもユダヤ教独自の解釈を披露しつつ、それぞれの宗教の共通性と独自性を研究してこられました。

 これら貴重な体験をもとに、今回の研究会では、マゴネット先生には、”Teaching Judaism to German and Japanese Christians: A Comparative Study”、と題したご発表をいただきました。ドイツ人と日本人キリスト教徒それぞれにユダヤ教を説明するにあたっては、戦略的に方法を変える必要があるという指摘がなされました。
 なぜならドイツの場合、ナチス時代の負の遺産ゆえに、ユダヤ教やイスラエルにどう対応すべきかが熟慮・苦慮されてきました。しかしこうした姿勢は、若い世代では薄れつつあります。こうした現状について、先生は悲観的にはとらえず、「新しい世代」創出のチャンスだという持論を述べられました。
 一方の日本のキリスト教徒は、圧倒的な少数派の立場に加えて、政治的迫害も経験していることから、ユダヤ教徒に対する心情的な距離観は近いのではないかという印象を述べられました。
 こうした両国間の相違を踏まえて、ユダヤ教を理解するために必須となるヘブライ語の聖書注釈書、その歴史的な成り立ち、ヘブライ語の学習の現状(日本ではほとんど学習されていない、ヨーロッパでさえもヘブライ語学習が敬遠されがち)など、先生のご専門である聖書学の具体的な話題にも話が及びました。

なお、ご発表内容の詳細につきましては、以下のファイルご覧ください。
・「Teaching Judaism to German and Japanese Christians - a comparative study.」(PDFファイル)


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