科研A「変革期のイスラーム」第9回(2015年度第2回)研究会

日時:2015年11月28日(土)14:00〜18:00
場所:東京国際大学国際交流研究所 第1キャンパス金子泰蔵記念図書館4階L422教室


発表概要
「タウフィーク・カナアーンのフォークロア研究とパレスチナ・アイデンティティのあいだ」
発表者:田浪亜央江(成蹊大学CAPS主任研究員)

要旨
 パレスチナで数多くの病院の設立や運営に関わった高名な医師であり、同時にフォークロア研究者として数多くの論文を刊行したタウフィーク・カナアーン(1882−1964)。パレスチナの伝承や民間信仰、儀式や習慣に関する理解の補助として、カナアーンの論文を紐解く作業は現在半ば定石ともなっている。しかしその功績全体が現代パレスチナ文化復興運動とどのように関わっているのかについては、ほとんど議論がなされていない。
 発表者はこの数年、現代パレスチナ文化の動態研究として、おもにパフォーミングアートについて調査を行って来たが、文化を通じた現代的アイデンティティ創出を支える思想や歴史観にとって、カナアーンの仕事をどう評価するかという問いは不可欠であると考える。本報告ではカナアーンの生涯と業績の概要を紹介しつつ、聖書の記述に深く依拠したカナアーンの方法論と、現代パレスチナにおける宗教に拠らないアイデンティティ構築をめぐる議論を考える。



<トップページへ>