2015年5月30日公開講演会 概要紹介

文明の変革期における宗教の役割

日時:2015年5月30日(土)14:00〜18:00
場所:東京国際大学早稲田キャンパス、マルティホール
参加:自由(無料)
プログラム
@「アズハルと2011年エジプト革命:現代エジプトにおける政教関係の一考察」
【講師】長沢栄治先生 (東京大学東洋文化研究所教授)
A「宗教間対話と平和的共存に対するユダヤ教の貢献」(“Jewish contributions to interfaith dialogue and peaceful co-existence”)
【講師】ジョナサン・マゴネット(Jonathan Magonet)先生 (レオ・ベック大学名誉学長、ユダヤ教ラビ、西南学院大学名誉博士・客員研究員)

資料:「公開講演会フライヤー」(PDFファイル)



第6回公開講演会レポート

 2015年5月30日、東京国際大学早稲田キャンパス、マルティホールにおいて、長沢栄治先生とジョナサン・マゴネット先生を講師としてお招きし、本科研主催による公開講演会 文明の変革期における宗教の役割が開催された。 2011年の北アフリカの民衆蜂起後の期待感が失われ、各地で政治的不安定から混乱状態が起こる中で、いわゆる「イスラーム国」などの過激派集団の台頭が大きな問題となっている。これらの現象は、単にイスラーム社会の問題としてではなく、世界史的な文明の転換期の混乱状態と見て考える必要がある。これに対して、宗教にはどのような役割が期待されるのか。本講演会の目的は、この問題を理解するために、2人の研究者に、それぞれの専門の立場から光を当てて話しをしていただくことにあった。

 長沢先生は、東京大学経済学部卒業、東京大学東洋文化研究所教授。専門は近代エジプト社会経済史。最近の著書に、『エジプトの自画像 ナイルの思想と地域研究(東洋文化研究所叢刊第27輯)<外部サイト>』(平凡社、2013年)、『エジプト革命 アラブ世界変動の行方(平凡社新書)<外部サイト>』(平凡社、2012年)、『アラブ革命の遺産 エジプトのユダヤ系マルクス主義者とシオニズム<外部サイト>』(平凡社、2012年)など多数。近年のエジプトをめぐる政治的社会的変化を鋭く分析するとともに、中東地域の人道支援にも努める気概の研究者である。詳細や最新の動向については東京大学東洋文化研究所の紹介ページ<外部リンク>をご参照されたい。

 本公開講演会では、「アズハルと2011年エジプト革命:現代エジプトにおける政教関係の一考察」というテーマで、変革期のイスラーム社会における宗教の役割の事例紹介としてアズハルを取り上げ、革命家のエジプトで、国民国家の再編あるいは国家と社会の関係の組み直しの過程においてイスラームがどのような位置づけを与えられてきたのかを、歴史的な流れの中でお話ししていただいた。

 マゴネット先生は、イギリス、ロンドン生まれ、神学博士(ハイデルベルク大学)。1985年から2005年までイギリスのレオ・ベック大学学長を務める。2011年から西南学院大学客員教授、医師となる教育をうけたが、ラビを志し、現在まで43年間にわたるヨーロッパ・ユダヤ教・キリスト教・イスラーム常設対話集会をドイツで開催してきた。邦訳の著書に『ラビの聖書解釈: ユダヤ教とキリスト教の対話<外部サイト>』(新教出版、2012年)がある。先生は、今年度も来日し、西南学院大学で教鞭をとっており、6月11日には同大学で「ヘブライ語聖書に、なぜユーモアが存在するのか?<外部サイト>」というテーマで講演を行っている。詳細や最新の動向については公式ホームページ「Home - Jonathan Magonet<外部リンク>」を参照されたい。

 本公開講演会では、「宗教間対話と平和的共存に対するユダヤ教の貢献」(“Jewish contributions to interfaith dialogue and peaceful co-existence”)というテーマで、日本人が知っているようで知らないユダヤ人とユダヤ教の背景と歴史を概説していただき、そこからどのようにして宗教間対話への道のりが生まれていったのかを、ご自身の貴重な体験と近年の動向をまじえてお話ししていただいた。

 当日は、好天に恵まれ、50名近い参加者があった。長沢先生の講演は日本語で行われ、日本語のレジュメと英文の要旨が配布された。マゴネット先生の講演は英語で行われ、原文と日本語訳の講演原稿が配布された。講演ののちに、1時間ほど質疑応答の時間が設けられた。通訳は、本科研研究分担者の岩崎真紀先生が担当した。

・長沢栄治先生 日本語講演レジュメ・英語要旨「アズハルと2011年エジプト革命:現代エジプトにおける政教関係の一考察(PDFファイル)
・ジョナサン・マゴネット先生 英語(原文)講演原稿「Jewish contributions to interfaith dialogue and peaceful co-existence(PDFファイル)
・ジョナサン・マゴネット先生 日本語(翻訳)講演原稿「宗教間対話と平和的共存に対するユダヤ教の貢献(PDFファイル)


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