子どもの問題行動 │ 思春期・青年期の問題 │ 大人の問題
・登園登校したがらない | ・反抗がひどい | ・落ち着きがない |
・人見知りが激しい | ・注意力が散漫 | ・トイレに頻繁に行く |
・集団になじめない | ・こだわりが激しい | ・視線が合いにくい |
・遺尿・夜尿 | ・指しゃぶりや爪かみが気になる | ・何度も同じことを確認する |
・そのほかの発達に関する心配事 | ・病気とは思えないのに、しばしば腹痛や頭痛などを訴える |
登校を渋る、引っ込み思案で集団に溶け込めない、落ち着きがない、とても反抗的など、子どもを育てていく中で、親御さんにとっては、おろおろしてしまうことに出会うことがあるでしょう。親がいろいろ試みていても、ますます問題がこじれるばかりということも少なくありません。
親子関係も、一般の人間関係も同様なのですが、こじれてくると悪循環が形成されてしまいます。たとえば、引っ込み思案な子を活発にしようと、スイミングスクールに通わせるとか、集団で行動するグループに参加させて、変わってもらおうとします。
確かに、このようなことが意味をもつこともあるのですが、それは『もう後一歩が踏み出せない』という状態の子どものときに、有効であることが多いのです。ところが、いろいろな問題行動が『もう少し育ってからにするよ』というサインである場合は、しばしば逆効果になってしまいます。
それと、問題行動そのものに注目して、その子どもを変えようとするのですが、子どもを取り巻く状況全体が、目に入らなくなってしまうことがあります。たいてい、問題行動が起きると、親御さんは一生懸命ですので、うまく進まないとイライラします。そのイライラが子どもの状態を悪化させるということは、よく目にすることです。
そんなときに、私たちが心がけているのは、ともかく少しでも、親御さんが心に余裕がもてるように工夫することなのです。お子さんの発達状況を把握し、悪循環に陥っているところはどこなのかを考え、親御さんの心の中にある、子どもを育てていく力を引き立てていくことが、まず最初の仕事になります。意外に思われるかもしれませんが、下手な気休めより、状況をきちんと把握し、そのことを話し合っていく方が、はるかに気持ちの落ち着きを取り戻すことにつながるのです。
・不登校 | ・同じことを確認しないといられない | ・無気力 |
・引きこもり | ・考えたくないことが頭に浮かぶ | ・不安感が強い |
・激しく怒る | ・人といるとかなり緊張する | ・家族や物に当り散らす |
・他人の視線が気になる | ・極端なダイエット | ・万引きをする |
・非行傾向がある | ・わずかしか食べないのに、元気に振舞う | ・食べるのがとまらない |
思春期から青年期は、一人一人の中に、急激に発達し大人になっていく側面と、子供時代からそのまま引き継いでいる側面とが、様々なバランスで共存している時期であると言われます。
大きな変化の時期だけに、自分でとらえている自分と、人から見られる自分とのチグハグさに戸惑い、自分がどんな人間かを確かめようと悪戦苦闘する年代でもあります。したがって、こころの中でも、外の人間関係でも、いろいろな葛藤を生じることはむしろ自然なこととさえ言えます。
しかし、そういった葛藤がなんらかの理由で長期間変わりないまま続くと、いわゆる心の問題となって現れてくることがあります。それが、無気力、不登校、不安感、摂食障害、あるいは暴力など、実に様々な形をとってあらわれます。
これらの問題がどのようにして起こってきたかは、一見自分で理解できそうに見えますが、実はなかなかつかめないものです。ちょうどそれは、家の中に座っていても家の形がつかめないのと似ています。カウンセラーと話し合っていくうちに、これまで充分に自覚していなかったことに気づいていき、自然で自分らしい自分を見つけていく可能性が開けてきます。
思春期・青年期は自主独立を求める誇り高い時期でもあり、ときには心理療法に対して、受け身で依存的なものであるかのようなイメージを抱いて敬遠することもあります。しかし、心理療法は、自分で自分を確かめていく場を提供するものであり、その人の主体性がおそらく他のどこにもまして重要になる場と言えるでしょう。
・親子関係がぎくしゃくしている | ・仕事のことが気になり、思い悩んでしまう |
・夫婦関係に溝がある | ・気持ちが沈んで、気力が出ない |
・家族の中で孤立してしまう | ・細かいことが気になってしょうがない |
・職場の人間関係がうまくいかない | ・いつも同じことが心配で苦しい |
・周囲のうわさが気になる |
「今の年齢になれば、もっとずっと大人になっているものと思っていた。でも今の自分は、それには程遠くて未熟だと思う」という話を、日常ときどき耳にします。
大人になると、いろいろな不安や悩みをなかなか表面には出しにくいこともあって、周りから見ると普通にしていて何の悩みもないように見えるものです。でも、心の状況はそういった外見と大きく異なっていることも少なくありません。
心理療法をおこなっていると、悩むことは、変化への大きなチャンスでもあるということが実感されることがあります。こころの問題が体験され解決される過程を、それまでの自分から新しい自分へと生まれ変わる道筋としてとらえる考え方もあります。
自分の中だけで抱えていると、決まった考え方にとらえられてしまいがちですが、じっくりと時間をとって、カウンセラーとの間で、実際にことばにして話していくと、意外な発見があるものです。話すということを通じて、こういった変化のプロセスをお手伝いするためにあるのが、心理療法という場なのです。